ペット好きは注意! 悪徳ペット葬儀業者の手口を公開

どうもどうもどうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です!

核家族化と高齢化が進み、人と人とのつながりや交流が希薄になった現代社会。何かとストレスが多い現代人の心の癒しになっているのが、ペットです。

ペットをテーマにしたテレビ番組を放送すると、必ずと言っていいほど高視聴率をマークし、犬や猫などを販売するペット販売店も繁盛しています。しかし、ペットを飼うと避けて通れないのが、ペットの死。ペットを失った飼い主がペットロスになってしまい、うつ状態になることも非常に多いようです。

ペットは家族……と思う多くの飼い主をターゲットにした”ペット葬”も非常に活況だと聞きつけた私は、ネタ元の情報を頼りに、ある悪質なペット葬儀業者にコンタクトを取ることができました。

今回は、彼らにインタビュー取材したその手口の一部をお伝えしたいと思います。

充実したホームページを作るのが最重要

今回告白してもらったのは、ペット葬儀の仕事に就いて、17年目の藤田氏(仮名/45才)。手首には高価なコンビのロレックスが巻きつき、見た目の印象は少しいかついやくざ風。仕立てのよさそうなスーツに身を包んだ彼を目の前に、私は少し緊張しながら、インタビューをはじめた。

「今空前のペットブームでしょ? 最近では、ペットというよりは、”家族”の一員として溺愛する飼い主が多いんですわ。ホンマやったら火葬して終わりでええんやろうけど、葬儀までするという客の気持ちはよくわかりませんわ。第三者からすれば、ただの犬猫やしね」

不躾な印象を受ける語り口。家族にとっては、何年も何年も積み重ねたペットとの忘れられない数々の思い出があるはずだ。そんな言い方は、あまりにも情というものがない。

「ウチの『Xペット葬儀社』では、だいたいラジカセで坊主の経は流します。本物の坊主を呼んでくれという飼い主もいるんやけどね、基本プランの中には録音したお経やね。基本セットとしては、一番安い小さなペット用祭壇と犬の遺影、その動物の大きさに合った棺とドライアイス、仏花、移動火葬車での火葬、骨壺になりますわ」

「この商売っちゅうのは、まずサイトを充実させて、検索する客を安心させるというのが一番重要なんよね」

藤田氏の『Xペット葬儀社』の公式Webサイトを閲覧してみると、そんな悪徳な業者にはまったく見えない。サイト画面には、”安心” “確実” “満足” “ひと葬儀29,800円?” “全日本ペット葬訪問協会加盟” という言葉が並んでいた。

「そうそう、安直な文言に客は騙されるんよね。実在しない協会に加盟していることを匂わせるのもそのコツやね。サイトさえしっかり作ってあれば、ちょっと宣伝費用を支払うだけで、客は勝手に電話をかけてくる。その間は、テレビ観ながら、ボーっと待ってるだけやわ」

ペット葬の高額請求

藤田氏に聞いた、基本的なペット葬儀の流れはこうだ。
まずは、移動火葬車で客の元へと向かい、ペットの遺体を棺に入れる。その後は、数手順で簡単に飾ることができる祭壇に花を手向け、読経して葬儀。そして、個別火葬へと取りかかる。

客の自宅に駐車場などがない場合は、自宅から少し離れた場所で火葬。火葬終了後には、スタッフがどれがどこの骨かというお骨の説明をする。最後に、ペットの飼い主の家族全員で骨壺に骨を納めてもらう。拾骨後に骨壺・骨袋に納め、家族に返骨する。

これ以外にも、家族が火葬に立ち会わず、骨だけを受け取る安価なプランもあるとのことだ。

「葬儀を滞りなく終わらせて、棺を移動式火葬車に納めた後、火を入れたときからが、勝負やね。モクモク煙突から煙が立ち昇ってるやんか? コツは、料金を請求するのは”ペットを焼却炉に入れてから”。支払いをこれなら拒否などできへんやんか? そのときに泣き崩れる家族に、請求書を手渡すのよ。額面は、特別骨壺やら特別製の棺、位牌の戒名やら、大型犬なら火葬費用を割り増しにしたりすると……オプション付きで金額が膨らんで80万くらいかな」

私は正直驚いた。80万円といえば人間の葬儀代と変わらない。ペット葬儀で80万円もかかるというのは暴利をむさぼりすぎではないのか。さらに彼は続けた。

「そりゃこのぐらい当然やわ。犬猫のために葬儀まで執り行ってるんやから……。オプション費用の説明やらは、矢継ぎ早に営業トークで事前に確認取ってるし……まぁ話なんて聞いてないけどね、相手は。ペットロスで悲しみに暮れている遺族っちゅうのは冷静な判断なんてできへんのよ。それに、支払いを渋るようなら、そこの子供が”今日はお葬式なんやから、もうやめて! 家族のお葬式なんやから!”ってこっちの味方になってくれるしね。慶弔事は強いよね、やっぱり。その場で現金が支払えない場合は、残額支払いを確約する”念書”を書いてもらうよ」

あきれた詐欺の手口に、私は閉口した。

前に火葬した別の犬の骨を遺族に渡す

「その他にもいろいろとあるよ。とにかくこの商売、人の葬儀と違って、めちゃくちゃ楽やねんね。例えば、客からペットの遺体を受け取ってから遠くの団地のごみ箱に捨てたこともあるし、骨なんか焼いてしまえばどれも一緒にみえるから、前に火葬して余った骨を遺族に渡せば終わることもあるしね。火葬車の掃除なんて、川に大量の”残骨”をザザーと流してしまえばええし。不法投棄なんか当たり前よ」

当然のことのように話す彼。いくら何でも、このような業者の存在を行政が黙って見過ごすわけがない。しかし、そこがこのようなペット葬儀業者が横行する理由だったのだ。

「ペット葬儀業者って行政への届出がいらんねん。まぁ、要するに、誰にでも開業できる業界は、無法地帯ということやね。知り合いのヤクザも最近やりはじめたよ、儲かるし、脅し文句も”本職”やから」

しかしいくら何でもホームページに書かれている基本の金額との差がありすぎる。私なら絶対に支払わないだろう。葬儀代金の支払いを断固拒否する客が出てきた場合はどのように対処するのか。私はこの後に、恐ろしい話を聞くことになる。

「ああ、うるさい客やろ? ”協会加盟で詐欺! 消費者センターに行く!”ってごねるお客には、そうやね……。態度を一変させて、分厚い手袋はめてから火葬炉を開いて、”この生焼けの犬、引き取れ!”って怒鳴るなぁ。これで一発やわ。真っ黒になった自分のところの愛犬が見せられたら、子供は叫ぶし、トラウマやんか。払うよ、すぐに」

したり顔で言う藤田氏。気分を害した私は、この瞬間に席を立った。

ここ数年前から『国民生活センター』には、彼らのような悪徳業者の被害が多く寄せられているようだ。
動物好きの私には、本当に許せないこんな業者。
ペットを飼っているみなさん、こんな悪徳業者には気をつけていただきたい。