ペット霊園、トラブル防止へ 設置条例制定広がる

ペットブームで建設が進む専用霊園と周辺住民とのトラブルを未然に防ごうと、県内の自治体で、業者が霊園を造る際の基準を定めた設置許可条例を制定する動きが広がっている。今月施行した土浦市を含め条例は14市町村が制定。設置を許可制とし、事前に住民向け説明会の開催を求めるのが特徴だ。ペット霊園の設置は規制する法令がなく、全国では悪質業者が地域とトラブルを起こす事例もあることから、自治体が独自に規制に乗り出している。

土浦市は1日から、ペット霊園の設置許可条例を施行した。環境衛生課によると、同条例は、霊園設置に当たって市の許可制とし、業者側は市と事前協議をする必要がある。申請60日前までに住民説明会の開催も義務付けるほか、施設は住宅や公共施設から100メートル以上の距離を置かなければ設置できないとした。違反に対し市は改善の勧告や命令、許可取り消し、使用禁止命令などで対処する。

条例制定の背景には、ペット霊園が住宅地そばに設置され、煙や臭いなどで周辺住民とトラブルになるケースが全国各地で見られることがある。しかし動物愛護法はペット販売業者に県への登録を義務付けているのに対し、ペット葬祭業に関して規制する法律はないのが現状だ。

土浦市内では既に、焼却施設を併設した霊園が2カ所あるが、近隣住民との間で問題は発生していないという。市は、霊園の焼却施設については、廃棄物処理法にのっとって設置されているかを確認するという。市環境衛生課は「近隣住民から苦情があれば立ち入り検査を行い、市でもパトロールを行っていきたい」と運用面も強化する考え。

県内ではペット霊園が40カ所ほどあるとみられる。同様の条例は龍ケ崎市が2004年に施行。市によると条例施行後に1業者が撤退し、その後は設置申請はないという。市環境対策課は「条例がないと最低でも市が情報を把握できない。適正に運用していく」とした。条例はほかに北茨城、東海、那珂、鉾田、かすみがうら、牛久、阿見、取手、守谷、河内、古河、五霞の12市町村で施行した。多くは、首長の許可や近隣住民への説明会開催を義務付けている。(綿引正雄)

茨城新聞社
2018年1月30日