ポエム-生命の賛歌(いのちのさんか)

ある朝の神話その08 コウモリとすずめ

それはある晴れた朝のことでした。
まだうすぐらい木立をコウモリは神社の森の ねぐらへと急いでいました。

ところがようやく神社へとたどりついたところで思わず木陰から飛び出してきた小さなすずめとぶつかりそうになったんです。

驚いたコウモリはすずめに言いました。
「すずめさんどうしたんです。まだくらいのに起きだして。」
すずめは申しわけなさそうになさそうに答えました。

「コウモリさん、どうもすみません。実は僕はいつもあなたが夜とびまわるのをみてうらやましく思っていたんです。暗くて何も見えないのにどうしてあなたはそんなに上手に飛べるんですか?」

コウモリは笑いながら答えました。
「あなたのいわれることはよくわかります。でも私のまねはおやめなさい。けがのもとです。私は飛ぶときはいつも音波を発して、それで前方に何があるか区別できるんです。いわば体にレーダー装置みたいなものをもっているわけです。だから暗い夜でも飛び回ることができるんですよ。

もともと私は夜活動して朝になるとこうしてねぐらに帰って眠るんです。あなたは朝起きだして夜に眠るんでしょう。その点、私とは全く逆の生活をしているわけです。

あなたの気持ちもわかりますが、生き物にはすべてその生物にあった生き方が必ずあります。むやみに他のものをまねることはよくないことだと思います。だからあなたも自分の道を着実に歩むことが大切ではないでしょうか。」

すずめは聞いていてなんだか自分が恥ずかしくなりました。
「コウモリさん、ありがとうございます。もうけっしてまねなどいたしません。僕も自分の道を進んでいきます。」
すずめと別れねぐらに帰ったコウモリはほほえみの中やがて深い眠りにつきました。

それはある晴れた朝のほんの小さなできごとでした。

K.M

ある朝の神話

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