<ポエム>ある朝の神話その2 二十七日の月と金星

それはある晴れた朝のことでした。
細いお月さまと金星が東の空で仲良く並んでいたのです。

お月様は言いました。
「金星さん、あなたはとても美しい。
私はたくさんの星たちを見てきたがどうして
君の存在に気付かなかったんだろう。
ほかの星が消えてからやっと気付くなんて。」

金星は笑って答えました。
「私はたった今あらわれたばかりだから、あなたと
あわなかったのも無理もありません。
それに私はちっとも美しくありません。
あなたと同じように三日月形をしています。」

お月様はおどろいてたずねたんです。
「本当かい?確かに君は全天一美しいけれど
その君が僕と同じような形をしているのかい?」

お月様はすっかりうれしくなりました。
「僕はとてもうれしい。
でもせっかく君に会えたのに残念だ。
太陽が出てくると僕はもうすぐ見えなくなってしまう。」

金星は小さな声で言いました。
「私ももうすぐ消えていくの。」
「え?君の命はそんなに短いの?
でもどうしてそんなににこにこしていられるのかい?」
お月様は不思議に思いました。

「私はつかのまでもこの早朝に世の中みんなを包むのよ。
それがうれしくて・・・」

お月様にはそれ以上金星の声を聞きとることができませんでした。

それはある晴れた朝のほんの小さなできごとでした。

K.M

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