ポエム-生命の賛歌(いのちのさんか)

ある朝の神話その11 火山と赤い雲

それはある晴れた朝のことでした。
東の空に出ている朝焼けの赤い雲の眼下に
雄々しくそびえる活火山がありました。

火山は赤い雲に話しかけました。
「雲さん、おはよう。今朝はとてもきれいな色だね。
日頃の白い色から比べると今のその赤い色は
まるで感じが違うね。」

朝焼けの雲は少し照れて答えました。
「ありがとう。でも私がこのような色彩を保てるのも
あとわずかのことです。お日さまが出てしばらくすると
色がかわっちゃうんです。
でもそういう火山さんだって今日はずいぶん噴煙を
出していますね。」

「僕ももうすぐ噴火してしまうんです。」
「それでは今の私たちの姿はほんの少しの間のものなのですね。
私はやがて黒い雲にとってかわられこの晴れた大空一面を
おおわれてしまうでしょう。
だから私はこのわずかの時間に全精力を出し切って
燃焼しているんです。」

「なるほど。たとえ一瞬間でも全力を注ぐということは
すばらしいことですね。
僕ももうすぐマグマがのぼってきて山の形が変わるほど
一気に爆発してしまうかもしれません。
でも雲さんの言われるように僕も常に悔いの残らないように
精一杯がんばりますよ。」

「そうですね。火山さんはそのすばらしい威容によって
いつも多くの尊敬を集めているじゃありませんか。
お互いにがんばりましょう。」

朝焼けの雲と雄々しい活火山はお互いを見つめてにっこり
微笑みを交わしました。

それはある晴れた朝のほんの小さなできごとでした。

K.M

ある朝の神話

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