ポエム-生命の賛歌(いのちのさんか)

ある朝の神話その07 にわとりとひよこ

それはある晴れた朝のことでした。
コケコッコー コケコッコー
鶏小屋ではその朝も大きなおんどりが元気に大声を張り上げていました。

その日はまだ生まれてまもない小さなひよこも目をさましていました。

ひよこはおんどりにたずねました。
「パパ、パパはどうしていつも朝になると大きな声で鳴きだすの?」

おんどりはゆっくりと言って聞かせました。
「いいかね。生き物にはだれにも持って生まれた使命というものがある。それは神様からさずけられたものだよ。

私たちにわとりにはすべての生き物に朝がきたことを知らせる大切な役割がある。それがどれだか大切なことか考えるだけで私はうれしくなる。

だからこの使命だけは決して怠ってはいけないんだよ。おまえも大きくなったらきっとパパの言ってることがわかる日が来るよ。

生き物にはいろいろな生き方があるけれど、少しでも他の生き物のためになるようなことをしようという考えは忘れないようにするんだよ。」

「うん、パパわかったよ。僕も大きくなったらきっとパパのようなにわとりになるよ。」

おんどりはかわいいひよこを見つめてニッコリ笑いました。
そうしてまたけたたましく鳴きはじめました。
コケコッコー コケコッコー

それはある晴れた朝のほんの小さなできごとでした。

K.M

ある朝の神話

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