ペットの忌引休暇や香典

過熱するペットブーム…扶養手当や慶弔金まで登場

1)扶養手当の支給開始
動物用医薬品メーカー共立製薬(東京都千代田区)が、犬・猫を飼っている社員にペット扶養手当の支給を始めた。昨年12月の給与で約100人が月額1000円を受け取った。

2)背景
ペットフード工業会によると、犬は約5世帯に1世帯、猫は約6世帯に1世帯が飼育していると推測され、増加傾向にある。一方で、捨てられるペットも後を絶たない。動物用医薬品メーカーである共立製薬は「人生の伴侶となっているペットが家族の一員と考えるのは自然の流れ」と判断した。

3)内容
昨年11月に社内規定を見直し、正社員が犬か猫を飼っている場合、基準外給与として支給することを決めた。数にかかわらず一律1000円を支給する。希望者は名前、種類、年齢などを会社に申請する。
また、年31万匹が殺処分されており、「一生つきあって欲しい」として、社員の勤続表彰にならい、5年、10年、15年と飼育年数に応じて表彰する制度も導入する予定だとか。 金額は人間の配偶者1万円、子供1人5000円と比べてそれほど高くはないが、将来的には、飼育年数の長さに応じて表彰金や特別休暇の創設も検討する。ペット購入手当として1万2000円を購入時に支給する仕組みも整えるようだ。

4)他社の動き
ペットフードメーカー日本ヒルズ・コルゲート(東京都江東区)は05年から、慶弔手当として、購入時と死亡時にそれぞれ1万円を支給している。特に、死亡時においては、「社長名で香典が届くほか、忌引休暇が1日与えられる」(広報担当)という。

<日本ヒルズ・コルゲート株式会社の慶弔規程制度の内容>
・社員の扶養する犬や猫の慶弔に対し、祝金及び弔慰金を支払う。
・社員がペットの扶養を始めた場合は、1頭当たり1万円を贈与。併せてフードを贈与する。
・扶養ペットが死亡した場合は、1万円の弔慰金を支給する。
・社長名にて、弔電を社員に送る。
・扶養ペットの死亡の場合は、1日の忌引き休暇を認める。

空前の日本のペットブームで、平成18年の犬・猫飼育件数は15年比36%増の約2450万頭と大きく増加。15歳以下の人間の子供の数は、2.9%減の約1700万人だから、ペットが子供の数を上回っている。

だが、飼育放棄などで年31万頭が安楽死処分させられているという現実がある。共立製薬の総務担当者は「ペットを飼う権利は誰にでもあるが、同時に一生かけて育てる義務も生じる。今回の制度が日本全体に広がってペットは家族の一員という意識を持ってもらいたい」と話しているという。